作品の概要
プラットフォーム:Nintendo Switch
ジャンル:RPG
プレイ人数:1
プレイ時間:15時間ほど(メインストーリークリアまで)
開発:任天堂
発売日:2023年11月17日
CERO:A
スーパーマリオRPGの歴史
スーパーマリオRPGは、1996年3月9日に任天堂から発売されたアクションRPGである。この作品は、従来のアクション路線から大きくゲーム性を変えたことで話題となり、スーパーファミコンにおける不朽の名作として高く評価されている。また、任天堂がスクウェア(現在はスクウェア・エニックス)と共同開発したことも大きく話題を呼んだ。
1990年代のスクウェアといえば、ファイナルファンタジーが続々と発売された時期でもある。1990年にはファミリーコンピュータからファイナルファンタジーⅢが発売され、以降、およそ1年ごとにⅣ・Ⅴ・Ⅵが発売されることになる。ファイナルファンタジーⅥが1994年4月、Ⅶが1997年にプレイステーションで発売されているので当時のスクウェアにとってスーパーファミコンで発売した最後のRPG作品がスーパーマリオRPGなのである。
驚くべきことに、30年の時を経てこの名作がリメイクされることになる。当時、夢中になってプレイした小学生たちは今や30代や40代の中年になっていることだろう。筆者はリアルタイムでプレイした世代ではないが、小学生の時に友達からカセットを借りてプレイしたのを覚えている。
この記事ではNintendo Switchによって甦った本作の魅力を余すことなく紹介していこうと思う。スーパーファミコン版をプレイしたことがないプレイヤーも今作をプレイする価値があるのか、さっそく調べてみよう。
懐かしさと進化の融合
この作品を一言で表現するならスーファミのクラシックな魅力を保ちながら、現代的なアプローチで復活させた点が素晴らしい。オリジナル作品から要素を削ることなく忠実に再現しているといっても過言ではない。プレイしている際も懐かしさに浸りっぱなし。
「こんなのあったなぁ」
と心の中で思いながらプレイしていた。任天堂とスクウェア・エニックスがこの作品に込められた思いがひしひしと伝わってくるのである。
- 現代的になったグラフィック
- ほぼ忠実に再現されたサウンド
- よりプレイしやすくなったアクション要素
プレイヤーは5人のユニークなキャラクターを編成し、ゲームをプレイすることができる。マリオワールドなどと同様、それぞれのステージはワールドマップから選択し攻略していく。火山や地下水道、果ては雲の上などマップにも多様性がある。それが現代のニンテンドースイッチでリメイクされたのだからおもしろくないわけがない。
キャラクターと魅力的なイベント
ゲームをプレイしている間、2頭身のデフォルメされたキャラクターたちによる寸劇が繰り広げられる。それはまるで人形劇を見ているかのよう。とにかく、キャラクターの表情が可愛らしく豊かで見ているだけでも楽しく、冒険を盛り上げてくれる。今作ではマリオ、クッパ、ピーチの他に2人のオリジナルキャラクターが存在する。
当時のファンには嬉しい、懐かしいネタやイベントが再現されている。こどもにブチギレるマリオだったり、涙目になるクッパなど数多くあるマリオ作品の中でもコメディ色がかなり強い。
ストーリーの進行においても王道をいきつつも予想外の展開を見せてくれるため、新規プレイヤーにとっても楽しい作品となっている。
また、ゲーム中には様々な小ネタがあるが、その中のひとつに任天堂のキャラがゲスト出演している。イースターエッグ的な要素もあるため、気になる人はゲーム中で探してみよう。
素晴らしい音楽とムービー
リメイクされたのはグラフィックだけはない。筆者の個人的な見解だが神ゲー・良ゲーと呼ばれるゲームは少なからずゲームサウンドやBGMが大変素晴らしい。例に漏れず今作も、ゲームを彩る音楽が素晴らしくプレイヤーを引き込む要素のひとつとなっている。それを象徴するかのように今作では作曲するイベントが存在する。詳しく話すとネタバレになるため、簡単に説明すると途中までは決まったフレーズになっているが、曲の締めは完全にオリジナルで作ることができる。筆者はかなり好きなイベントである。
また、設定でサウンドをオリジナル版の音源に切り替えることもできる。過去にプレイしたプレイヤーにとっては感涙ものだろう。オールドユーザーに向けたサービス精神が素晴らしい。ゲームをクリアしたあとはサウンドトラックが開放されるため、思う存分堪能することができる。
追加されたムービーシーンは高品質で、物語に深みを加えていることに成功している。筆者のお気に入りのシーンは人形だったジーノが動き出すシーンやピーチがパラソルを使って城の窓から降りてくるシーン。2頭身のピーチがふわふわと降りてくる様はとても可愛い。他にも、重要な場面や印象的なシーンでムービーが用意されている。今作の新要素である合体技にもムービーシーンが採用されている。スーパーファミコン版にない新要素のひとつで戦闘中に使用することができる超強力な必殺技。もちろん、飛ばすこともできるがクオリティの高いムービーなのでつい見てしまう。
シンプルで楽しい戦闘
今作の戦闘はマリオ+キャラクター2人で戦闘を行うことができる。戦闘はターンベース制であり、すばやさの高いキャラクターから順番に行動していく。他作品でいう特技やスキルは今作ではスペシャルと呼ばれ、フラワーポイント(FP)と呼ばれるMP的なものを消費して使用することができる。このFPはパーティ全体で共有しており、物語を進めていくことで最大値を増やしていくことができる。
和製RPGにおける戦闘はコマンドバトルが主流であるが、今作はそれを踏襲しながらもマリオらしい要素が取り入れられている。攻撃する直前や相手の攻撃を防御するタイミングでボタンを押すと以下のボーナスを得ることができる。
- 与えるダメージが増加する
- 範囲攻撃になる
- 相手から受けるダメージが減少する
この戦闘スタイルは後の作品であるマリオストーリー(N64)やマリオ&ルイージ(GBA)などにも継承されている。今でこそ古臭い戦闘システムに感じられるが、当時はドラクエやFFのような戦闘スタイルが主流であったため、画期的な戦闘システムであったと思われる。また、武器や装備もユニークなものが多い。例えば、マリオだったらこうらやハンマー、グローブを装備して戦う。各キャラクターに2、3種類の系統の武器があり、それぞれ独自のモーションが用意されている。個人的に好きな武器はクッパのぶんなげグローブ。これはマリオを投げ飛ばして攻撃する武器なのだが、マリオが状態異常やひんしの時は代わりにマリオの人形を投げて攻撃する。紳士的なクッパに思わず笑いが込み上げてくるのだ。
シンプルでおもしろい
簡単に楽しめるのはマリオ作品ならではだろう。また、リメイク版の新要素としてアクションが簡単になった点も注目したい。具体的にいえばスーパーファミコン版に比べて入力受付時間が伸び、アクションが苦手な人にも優しい仕様になったのはうれしいポイントである。この点でもマリオは全年齢対象なのだ。
ゲームをプレイする際に筆者は何よりもテンポを重視する。どんな神ゲーでもテンポが悪ければそれだけで気持ちが萎えてしまうくらいテンポは重要なのである。本作ではそのような憂いは全くないため、安心してプレイしていただきたい。戦闘はもちろん、進行がスムーズで飽きずにプレイを楽しむことができる。あまりのテンポの良さ、ストーリーの明快さに時間を忘れてプレイしてしまうことだろう。ロードもワールドマップの切り替え時やエリア移動する際に発生する程度。ゲームプレイ中はストレスを感じることはほとんどなかった。
気になる点もないわけではない…
ここまで絶賛してきたが、どんなゲームでも少なからず欠点があるのもまた事実。プレイしている最中に気になった点をまとめてみた。
残念な点1:短いストーリー
「 原作に忠実に再現する」というのは良いことばかりではない。このゲームをプレイした感想でまず出てくるのが
もう終わり!?ストーリー短!?
原作を知っているとラストダンジョンあたりでボスを倒したくなってくる。もう少し遊びたいという気持ちばかりが残るのである。裏を返せばそれだけ夢中になって遊べたともいえるし、社会人のように日常が忙しいプレイヤーからすると逆にその短さがありがたかったりする。
2週目の引き継ぎプレイができないのも惜しい点。2週目以降にしか出現しない裏ボスややり込みダンジョンなどがあればもっと遊べたのにという気がしないでもない。要するにもっと遊びたいのでコンテンツがあれば尚良しといった感じだ。
残念な点2:簡単すぎる難易度
敵が弱い
マリオは全年齢対象の弊害(?)で、戦闘の難易度がかなり低め。より困難な挑戦を求めるハードなプレイヤーにとっては物足りなさを感じるかもしれない。クリア後には高難易度であるボス戦が用意されてはいるが、本編中の難易度はかなり低い。また、戦闘がシンプルであるがゆえにボス以外の戦闘が単調になりがちであることも欠点の一つだと思う。これによって後半はダレる可能性もあるがストーリーが短いことが幸いし、あまり気にならないといった感じだ。
まとめ
大作ではなく名作
スーパーマリオRPGはRPGにおける古典的な作品であり、SFC版をやり損ねたプレイヤーにとって素晴らしいリメイク作品といえる。笑いあり・涙ありのストーリー、素晴らしい音楽とサウンド、キャラクターが織りなす軽妙なジョークとブラックユーモア。特に、新しくなったグラフィックは昔からのファンにとって目新しいものであるだろう。マリオというアクションゲームが従来のジャンルから逸脱し、伝統にこだわるのではなく独自で斬新なアプローチをとっているのは評価に値するだろう。非現実的な世界で奇妙なキャラクターたちが活躍するファンタジー作品なのだ。
子供から大人まで誰が遊んでもおもしろいと感じるゲームであり、マリオを語る上でマストな作品といえるだろう。
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