なんで人気?戦わない「Cozy Game」が世界中で注目されるワケ【ゲーム大学・第2回】

「Cozy Game 現代社会に疲れた人たちへ — 戦わないゲームデザインの魅力を考える」―あつまれ どうぶつの森など癒やし系ゲームのビジュアルを背景にしたアイキャッチ画像

どうも、ユウ吉(@GAMEWALKERZ)です。

気づけば、毎日“勝ち負け”のことばかり考えていませんか?仕事で成果を出せ、SNSではリアクションを稼げ、日々の生活すら数字で評価される──
ちょっと疲れますよね。

そんな現代人の心に、そっと染み込むゲームがあるのをご存じですか。

戦わない。競わない。焦らせない。
でも、なぜか気持ちが軽くなる。

それが「Cozy Game(コージーゲーム)」。
派手な演出も、スリルも一切ない。

「それ、ゲームって言えるの?」
そう思った人こそ、意外とハマるかもしれませんよ。

*本記事にはアフィリエイトリンクが含まれますが、紹介する商品やサービスは筆者が実際にプレイ・確認したうえで、信頼できると判断したもののみを掲載して います。

目次

Cozy Gameとは何か?「やさしさ設計」のゲームはなぜ生まれたのか?

戦わない。急がない。求められない。

Cozy Gameとは、ゲームなのにプレイヤーに“なにもしなくていい時間”をくれる、不思議なジャンルです。

近年注目されるこのスタイルの背景には、ゲーム文化の進化と、現代人の「癒やされたい欲求」があります。

そもそも「Cozy Game」って何?

あまり耳慣れない言葉ですよね。

直訳すれば「心地よいゲーム」「ぬくぬくしたゲーム」

「緊張を強いられずに穏やかな世界で過ごすこと自体を目的」とした、ゲームのことです。

たとえば、あなたが昔遊んだゲームを思い出してください。敵が出てきて、それを倒す。時間内にクリアする。ライフがゼロになるとゲームオーバー。

それはそれで面白いけど、同時に「心がすり減る」感覚を感じたことはありませんか。

eSportsの影響で対戦ゲームが急速に拡大した今、競い合うことが苦しいと感じることも多くなった気がするな

  • プレイヤーにストレスを与えない
  • ゆったりと流れる時間、癒やされる空間
  • 勝ち負けではなく「過程」を楽しむ
  • 戦闘やタイムリミットが存在しないことが多い
  • キャラとの交流やクラフト・生活要素が中心

「自分のペースで、自分の幸せを見つける」——そんな体験をくれるのがCozy Gameです。

では、こういったジャンルがなぜ今、注目されているのでしょう?

背景には、次のような時代の変化がありますーー

  • コロナ禍以降、心の癒やしを求める人が増えた
  • SNSで映えるゲームが拡散されやすくなった
  • ゲーム人口の多様化により、非ゲーマー層でも楽しめる設計が歓迎されるようになった
ユウ吉

要するに、現実がちょっとしんどいから、仮想空間で深呼吸したい
そんなニーズを的確にとらえたのが、Cozy Gameというジャンルなのです。

戦いのないゲームが与えてくれる“もうひとつの幸福感”

夜更かししてゲームをやった経験がある人にこそ試してほしい

従来のゲームに慣れ親しんできた人ほど、こう思うかもしれません。

「このゲーム、何をすれば“クリア”なの?」
「敵が出てこないのに、何が面白いの?」

アクションゲームでは反射神経が、RPGではレベル上げや戦略が要求されますが、Cozy Gameでは「ただ、そこにいていい」。この違いは決定的です。

  • 失敗という概念がない
  • 成長を求められない
  • 強くならなくていい

「何もしない時間」をゲーム内で過ごすことが肯定され、目的があっても、それを急かす者は誰もいません。

「進まない時間」が、癒やしになり、競争や達成だけがゲームの楽しさじゃないことを教えてくれます。

「やらなきゃ」がない世界で、初めて気づける“楽しみ”がある。

心が整う、おすすめCozy Game 5選

仕事や人間関係に疲れたとき、そっと心を癒してくれるのがCozy Gameの魅力です。

今回は、実際にプレイして“心が整った”と感じたゲームを、エピソードを交えながらご紹介します。

疲れた日に、優しさに包まれたいなら

あつまれ どうぶつの森

うちの両親は、ゲームなんて一切やらない人たちです。
ファミコン世代でもなければ、スマホゲームも一切やらない。
それなのに──なぜか『あつまれ どうぶつの森』だけは、毎日プレイしています。

やっていることといえば、
花の世話をして、住人とちょっと話して、気が向けばライブに行って、毎週カブを買って終わり。
目的らしい目的は、ほとんどない。
“やることない”のに、毎日やっている。

なんで続けてるの?と聞いたら、
「なんとなく」って返ってきました。
当時は、正直意味がわからなかった。

あつ森は、何かを達成するためのゲームではありません。
でも、だからこそ「今日はどうぶつたちと何を話そうかな」「どんな景色が広がってるかな」って、
ほんの少しだけ心が前向きになります。

日々の中で、自分でも気づかないくらい疲れていたり、
感情がささくれてしまったりする時──
この世界にふっと入り込むと、不思議と落ち着く。

あつ森を毎日続ける理由は、目に見える目的じゃなくて、
その“なんとなく”の積み重ねが、心にちょうどいいからなのかもしれませんね。

何かしたいけど、無理はしたくない人に

Tiny Glade

ミニチュアの世界って、どうしてこんなに心をくすぐるんでしょうね。

『Tiny Glade(タイニーグレイド)』は、そんな“小さな世界”を楽しむことに全振りした作品です。敵もいなければ、資源管理もありません。草の上にお城のかたちを描くだけで、勝手に石が積まれていって、いつのまにか「それっぽい」作品になっているんです。

街づくりゲームって、つい「センスを試されてる…!」って構えちゃうこと、ありませんか?
でもこのゲームは大丈夫。なんとなく描いたものが、ちゃんと絵本のページみたいになる。操作も直感的で、ルールもありません。

子どものころにレゴや模型づくりに夢中だった人は、きっとグッとくるはず。

1プレイが長いゲームではないけれど、ふと息をつきたくなったときに開くと、草の上に小さなお城を建てたくなる。そんなゲームです。

詳しくは ▶︎Steamでチェックする

Town To City Demo

Town To Cityの魅力は、なんといっても“急かされなさ”。

このゲーム、見た目こそマイクラ風の街づくりだけど、プレイ感はまるで逆。
戦略を練って資源を管理して…なんて要素はなくて、ただただ静かに、のびのびと、街を形づくっていきます。
住民も登場するけど、彼らはあなたの指示をじっと待っていて、催促も不満も言わない。
つまり、“建てたいときに建てる”を許してくれる、究極の癒し系ジオラマ。

ボクセルアートで表現された建物は細部まで温かみがあり、眺めているだけで満たされます。
装飾ひとつで雰囲気ががらっと変わるから、ミニチュア好きやジオラマ好きには絶対刺さるハズ。

まだデモ版しか出ていないけれど、ここまで完成度が高いなら、正式リリースには大いに期待できます。
「ただただ、いい感じの街を作りたい」という人には、ぜひ一度触れてほしい作品です。

詳しくは ▶︎Steamでチェックする

集中して作業をしたいあなたに

ミニ・コージールーム:ローファイ

デスクトップの端に置いておけるから邪魔にならない

まるでBGMのように楽しむ、“ながらプレイ”に最適な1本。

作業中に音楽を流すような感覚で、そっと立ち上げたくなるゲーム、それが『ミニ・コージールーム:ローファイ』です。

ドット絵で描かれたキャラが部屋で作業する様子を眺めつつ、自分は自分のタスクをこなす。──ただそれだけなのに、不思議と心がととのう。その理由は、ローファイ系のBGMと環境音が極上に心地いいから。

特に雨音や風の音などの環境音は没入感が高く、集中したいときや、逆に気持ちを落ち着けたいときにぴったり。

さらに、時間経過で経験値が貯まり、宝箱が開けられるという、ちょっとした報酬要素もあり、ゆるく“遊ぶ感覚”も味わえます。

全DLC込みでも1,500円以下という価格も魅力。

体験版もあるので、まずは気軽にその癒し空間を試してみてほしい1本です。

詳しくは ▶︎Steamでチェックする

gogh: Focus with Your Avatar

アバターと一緒に集中できる、癒やしの作業空間

『gogh: Focus with Your Avatar』は、自分のアバターを作り、そのアバターが作業する姿を眺めながら、自分自身も一緒に集中できるという、ちょっと変わった“ユーティリティ系”ゲームです。

本作の最大の特徴は、ルームカスタマイズの自由度
家具の配置、壁紙や床、照明、BGMなど……細部まで自分好みに調整できるのが魅力です。
夏であれば風鈴の音を流しながら、アバターが机に向かってカタカタとキーボードを叩く。そんな情景を見ていると、不思議と自分もやる気になってくるんですよね。

アバターの作業を眺めながら「よし、自分もやろう」と思わせてくれるこの感覚は、他の作業ツールにはない体験です。その日の気分や、やりたい作業に合わせて音を変えられるので、自分だけの集中空間を手軽に構築できます。

アバターと一緒に「はい、ここで一息」と休むことで、メリハリが生まれて集中力が続きやすくなるんです。
長時間作業する人には特におすすめ。

詳しくは ▶︎Steamでチェックする

なぜ今、Cozy Gameが求められているのか?

ただのブームじゃない。これは、疲れ果てた社会の“ため息”がつくり出したジャンルなのかもしれない。

ゲームすらも戦場と化した時代に、「やさしさ」を感じられるゲームが、ひっそりと広まりはじめている。

SNS疲れと、“頑張りすぎ社会”への反動

SNSで映えること、日々の生産性、成長、効率。
私たちはいつから、こんなにも「走り続けなきゃいけない」社会に住んでいたんだろう。

スクロールすれば、他人の成功、自分より“幸せそうな人間”がいくらでも出てくる。
それに反応して、自分も頑張らなきゃと無意識に背中を叩かれる。

こうした「つねに何かをしていなければいけない空気」が、
あらゆるジャンルのコンテンツにまで影響を与えてきました。
ゲームですら、達成・効率・やり込みが“当然”になっている昨今。

  • やらなくていい
  • 頑張らなくていい
  • ゲームの中では誰とも比べなくていい

Cozy Gameは、こうした“頑張り疲れた社会”への自然な反動として、じわじわと広がっていきました。
ただのゲームではなく、
「何者にもならなくていい時間」を提供する、心の避難所のような存在になってるんですね。

Z世代も大人も、癒やしを求めている

最近、ボクが感じるのは、現代の人々には「誰にも責められない空間」が必要だということ。

特に、自己肯定感が下がりやすいこの時代なら、なおさら。

特にZ世代──
生まれたときからSNSがあって、承認と比較が常にセットでついてくる世代。
自分の「できなさ」や「足りなさ」に人一倍敏感な彼らにとって、
「何も求められない世界」が必要なのではないだろうか。

でも、疲れてるのは若者だけじゃない。
子育てや仕事に追われる大人もおなじだ。

Cozy Gameは「ヒーリング系コンテンツ」ではなく、
世代や立場を越えて、「癒やしが必要な人が、自分で選べる処方箋」のように思える。

Cozy Gameはゲームの未来を変えるか?

「ゲーム=遊び」だったのはもう昔の話。
これからのゲームは、“癒すこと”や“心を整えること”を担う存在へと進化していくかもしれない。
「何もしないゲーム」という一見無意味なことが求められている時代がきっと来るはず。

セラピー、教育、メンタルケアとの親和性

ユウ吉

実は今、Cozy Gameは“娯楽”の枠を超え、福祉や教育の現場にも静かに入りはじめているんです。

海外では、軽度の不安障害や注意欠如に悩む子どもたちに、「感情のセルフケアツール」としてCozy Gameを活用するケースが出てきています。

自閉症スペクトラムの子どもにとっては、「ルールが少なく、自由に楽しめる安心なメディア」として役立つこともあるそうです。

他にも、認知症予防のレクリエーションや、長期入院中の患者のストレス軽減など、
Cozy Gameが「ゲーム療法」の文脈で語られることも増えてきました。

  • 強制がない
  • 時間制限がない
  • 自分のペースを尊重してくれる

そんな特徴をもつゲームだからこそ、“人間のままでいられる”プロダクトとして注目されはじめているんです。

戦いから癒しへ――ゲームの新しい役割

『Apex Legends』や『Fortnite』のような対戦・競争のゲームは、たしかにエンタメの王道です。
でもそれと同時に、「ただ静かに生きること」を描いたCozy Gameが評価されています。
これは単なるジャンルの多様化ではなく、ゲームというカルチャー自体の“再定義”かもしれません。

たとえば──
・忙しすぎる看護師が夜にUndertableをやって「泣いた」話
・大学生がA Short Hikeをきっかけに、休学を決めた話
・うつ状態だった人が、Stardew Valleyの農場で“誰にも評価されない時間”を過ごし、回復の糸口をつかんだ話

Cozy Gameは単なる“遊び”じゃない。
これはきっと、社会の機能不全を静かに補完する、未来的なカルチャーになりつつあるのかもしれませんね。

まとめ

今回は、Cozy Gameを解説しました。

敵もいない、クリアもない、緊張感もない。
それでもなぜか「もうちょっとだけ…」とプレイしてしまう、それがCozy Gameの魔力。

ハイスコアもランキングも、SNS映えもしないかもしれないけど、そこには“誰かに見せるためじゃない時間”が流れている。

戦わなくていいって、めちゃくちゃありがたい。
現実で毎日戦ってるんだから、ゲームの中くらい、やさしくていいじゃないか。

「疲れてるときはゲームすらしんどい」なんて人にこそ、Cozy Gameは効く。効くぞ。

ってことで、次の休みにでも「Stardew Valley」か「Unpacking」あたりから静かに沼ってみたらいいんじゃないかなって思います。

日常に疲れた人に癒しを、ユウ吉(@GAMEWALKERZ)でした。

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ゼロからわかるフロム・ソフトウェアのゲーム哲学|世界一のゲームを作れる理由を解明【ゲーム大学・第1回】

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この記事を書いた人

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